性器クラミジア感染症とは?男女別の症状や感染経路・検査方法について

クラミジアは、日本国内で最も広がりを見せている性感染症の一つで、症状が出にくいものの、感染力がとても強いという特徴があります。

クラミジアには、のどに感染する咽頭クラミジアもありますが、このページでは性器に感染する性器クラミジア感染症の症状や感染経路などについて詳しく解説していきます。

性器クラミジア感染症とは、どんな病気?

性器クラミジア感染症とは、原因菌となるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が男性の尿道や女性の子宮頚管などに感染することで発症する性感染症です。

男女共に若年層の感染者が多い病気ですが、その中でも10代~20代の女性の感染率の高さが際立っています。

性器クラミジア感染症報告数の年次推移グラフ(男女別)

総数男性女性
平成11年4~12月25,03311,00714,026
平成12年37,02815,85621,172
平成13年40,83617,49723,339
平成14年43,76618,28425,482
平成15年41,94517,72524,220
平成16年38,15516,53321,622
平成17年35,05715,22019,837
平成18年32,11213,90918,203
平成19年29,93913,17616,763
平成20年28,39812,40115,997
平成21年26,04511,84514,200
平成22年26,31512,42813,887
平成23年25,68211,73613,946
平成24年24,53011,47013,060
平成25年25,60612,36913,237
平成26年24,96011,93613,024
平成27年24,45011,67012,780
平成28年24,39711,72412,673
平成29年24,82512,07212,753
平成30年25,46712,34613,121
出典:性感染症報告数(厚生労働省)

性器クラミジア感染症報告数の年次推移グラフ(年代別)

総数10歳未満10~19歳20~29歳30~39歳40~49歳50~59歳60歳以上
平成11年25,033123,66413,2775,5051,792620163
平成12年37,02885,69719,7387,9382,490911246
平成13年40,83676,44321,7108,7842,685962245
平成14年43,76676,90122,5999,7903,0821,111276
平成15年41,94576,24521,4999,8763,0201,041257
平成16年38,15525,23319,4009,1733,0981,003246
平成17年35,05724,55017,8858,5052,908970237
平成18年32,11223,86616,3338,1182,608914271
平成19年29,93933,32215,1627,7382,638828248
平成20年28,39823,21414,0617,4102,667824220
平成21年26,04552,99612,7866,6392,526799294
平成22年26,31512,91712,4957,0012,702885314
平成23年25,68252,92611,9726,9502,747791291
平成24年24,53032,83211,5056,5572,580805248
平成25年25,60623,16412,0096,5232,814806288
平成26年24,96022,79311,9006,3872,765817296
平成27年24,45042,46611,6836,3282,796878295
平成28年24,39712,18011,8836,2482,886912287
平成29年24,82532,16612,4166,1822,809950299
平成30年25,46732,09713,1846,2212,780881301
出典:性感染症報告数(厚生労働省)

症状は弱いが感染力は非常に強い

性器クラミジア感染症は、自覚症状が出にくく感染に気づかない人が多いものの、非常に感染力が強いことで知られています。

日本では若年層の女性を中心に100万人以上の感染者がいると推測され、日本国内で最も流行しているSTD(性感染症)であると考えられます。

ちなみに、アメリカでは2016年に約160万件の報告があったそうですが、自覚症状のない人を考慮すると、その倍以上の感染者がいても驚けません。

性器クラミジアも咽頭クラミジアも原因菌は一緒

このクラミジア・トラコマチスは様々な病気の元となっており、のどに感染する咽頭クラミジア、過去に日本でも発症例のあるトラコーマ鼠径リンパ肉芽腫の原因菌でもあります。

ただし、トラコーマや鼠径リンパ肉芽腫といった病気は、近年の日本では耳にすることも少なくなりました。

クラミジアを放置すると様々なリスクが生じる

クラミジアを放っておくと体の奥まで進み、男性であれば前立腺炎副睾丸炎など、女性では子宮内膜炎腹膜炎などの原因にもなります。

これらは不妊症にも繋がってしまうため、早期の発見と完治させることが非常に重要になります。

また、クラミジアに感染すると免疫力が低下して他の病気にもかかりやすくなり、HIVの感染率が通常の倍以上になると言われています。

性器クラミジア感染症の症状は?

性器クラミジア感染症の症状ですが、個人差はあるものの女性は自覚症状が出にくく、男性のほうは軽い尿道炎のような症状が出ることが多いです。

大半の方が無症状ですが、おりものの量が増えたり、不正出血が起きることもあります。排尿時や性行為の時に軽い痛みを感じることもありますが、基本的に感染に気付かない方が多いです。

女性の症状

  • 大半が無症状
  • おりものの量が少し増える
  • 不正出血がある
  • 排尿時に軽い痛み
  • 性行為時に軽い痛み

男性の症状 自覚症状のない方もいますが、尿道に軽い炎症が起きて痒みや不快感があったり、排尿時に痛みを感じたりします。また、炎症が悪化すると少量の膿が出ることもあります。

男性の症状

  • 自覚症状は軽い場合が多い
  • 尿道に軽い炎症
  • 尿道に痒みや不快感
  • 排尿時に軽い痛み
  • 少量の膿

男性と女性に共通して言えることが、症状が軽く感染していることに気付かない人が本当に多い点です。

初期症状は軽いものの、悪化すると男女ともに不妊症につながったり、女性では流産や早産の原因にもなってしまいます。

なお、クラミジアと淋病は似た症状が出やすいことから、上記のような症状で性病検査を受けるときは、セットで検査するのが理想的です。

性器クラミジア感染症の感染経路は?

クラミジアの原因菌となるクラミジア・トラコマチスは、感染者の精液や膣分泌液や咽頭の粘膜に含まれており、粘膜同士の接触によって感染します。

主な感染経路は性行為となりますが、咽頭クラミジアの感染者とのキスやオーラルセックスでも感染する恐れがあります。

クラミジアが蔓延する要因の一つに風俗産業が挙げられ、働いている女性が利用者から咽頭クラミジアに感染してしまい、ほかの利用者に感染を広げてしまうケースもあります。

性行為での感染率は約50%

クラミジアの感染力は非常に強く、避妊具を使用していない場合、たった1度のセックスでも約50%の確率で感染すると言われています。

ただし、コンドームを使用することで、粘膜同士の接触を避けることができ、高い確率で感染を防ぐことが可能です。

お風呂やタオルでの感染は考えにくい

原因菌のクラミジア・トラコマチスは非常に弱い細菌であり、人の身体から離れると長く生きることができません。

そのため、性交渉などの直接的な接触以外ではほとんど感染することがなく、銭湯などのお風呂や、タオルやコップ等の使いまわしでの感染はあまり考えられません。

性器クラミジア感染症を予防するには?

クラミジアの主な感染経路は性行為になりますが、オーラルセックスでも感染リスクがあるため、完全に予防することは非常に難しいと言えます。

コンドームを着用することで粘膜同士の接触を避けられるため、性行為の際は必ず着用するようにしましょう。

また、不特定多数との性交渉を避けるようにし、自分やパートナーの身体に異常が見られたときは、早めに性病検査を受けるのが重要です。

性器クラミジア感染症の治療方法は?

性器クラミジア感染症の治療には、クラミジアに有効な抗生剤の投与が行われます。重症な場合には、点滴なども行われます。

症状や医師の判断にもよりますが、治療期間はおおよそ1~2週間程度が目安となり、服薬が終わってから1~2週間後に再度クラミジアの病原検査を行い、陰性であれば治療が完了となります。

これはクラミジアに限ったことではありませんが、途中で完治したと勘違いして服薬をやめてしまい、体内に残ったクラミジアが繁殖して症状が再発するケースも多くあるそうです。

そのため、処方された治療薬はしっかりと服用し、投薬終了後の病原検査にてクラミジアが消滅したことを確認することが極めて重要になります。

ピンポン感染に注意

自分やパートナーがクラミジアに感染してしまった場合、治療中や完治していない状態で性行為をしてしまい、お互いに感染を繰り返してしまう可能性もあります。

このように感染を繰り返すことを「ピンポン感染」といい、クラミジアを始めとするSTDで多く発生しています。

ピンポン感染を避けるためにも、自分とパートナーのどちらかがクラミジアに感染してしまった場合は相手も一緒に検査を行い、感染が確認できた時は一緒に治療するようにしましょう。

もちろん、治療中の性行為は控えるようにしましょう。

性器クラミジア感染症についてのまとめ

性器クラミジアについてまとめると以下のようになりました。

特徴
  • 非常に感染力が強い
  • 自覚症状が出にくい
  • 潜伏期間は2週間程度
症状 女性

  • 自覚症状が出にくい
  • オリモノが増えたり不正出血がある
  • 排尿時や性行為の時に軽い痛み

男性

  • 尿道に痒みや不快感
  • 排尿時に軽い痛み
  • 少量の膿が出る
感染経路 性行為やオーラルセックスで感染
予防方法 性行為時にコンドーム着用
治療方法 抗生物質の服用

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